Colorful lovers
そろそろ戻るか……。
短くなってきた煙草を最後に思い切り吸い込んだ。
ジジジッと微かな音を立ててフィルター付近まで灰になっていくのを確認してからゆっくり煙を吐き出そうとした、その時。
「ダメ! それ以上ため息ついたらガリバーの幸せがなくなっちゃうよ」
急に駆け寄ってきた人物にガシッと右肩を掴まれて、煙を肺に閉じ込めたまま俺は目を見開いて固まった。
な、なんだ?! なんて??
俺の目の前に立った人物を見て思考が大混乱を始める。
「……………………っっぶはぁっっ!!」
一瞬は我慢ができても、そう長い時間煙は溜め込んでおけるもんじゃない。
勢いよく一気に吐き出して激しく咳き込んだ。
「ご、ごめんなさい。 煙草吸ってるとは思わなかった」
申し訳なさそうに頭を下げる相手に煙がかからないように涙を流しながら必死に手をバタバタさせる。
「……ゲホッ……ゲホッ……、……ウエッ…
…………な、何してんだよ。 広瀬ぇ」
何とか喋れるまでに回復した俺が睨み付けたのは、教え子の女子高生だった。