Colorful lovers


「そーなんだ」


軽い感じで返事をして手にしていた眼鏡をカーディガンの袖で軽く拭ってからかけ直した。


モスグレーのセルフレーム眼鏡は講師になってからずっと愛用しているものだけどそろそろ変えようかな、とふと思う。


眼鏡をしっかり鼻に固定して広瀬の方に視線を戻したら、広瀬は顔を上げて俺の方をじっと見つめていた。



「……何? どーかしたか?」



問い掛けながらそういえばこいつはずっと俺のこと見てたって言ったんだっけ、と思い当たる。



情けねーな。
いつも偉そうに授業してるのに威厳形無しじゃんか。




「ね、ちょっと……いい?」



またため息をついてしまいそうになった俺に広瀬が思い切ったように詰め寄ってきた。



「……は?」



さすがに戸惑いを隠せなくて眉を潜めたが、広瀬は意を決したように1つ息をついてからトテトテと俺のすぐそばまでやって来て、ガードレールの左隣にちょこんと腰を下ろした。





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