Colorful lovers
「……何してんの? 広瀬ーー」
「そんなにちなっちゃんに彼氏がいたことショックだった?」
俺の質問に被せるように突然広瀬が発した言葉はとんでもない爆弾で、唖然とした俺は右手に持っていた空の紙コップを取り落としてしまった。
カララララと乾いた音をたてて転がっていくコップを追いかけることも出来ず、俺は呆然とその場で固まってしまう。
「ガリバーはちなっちゃんのこと好きだったでしょう?
昨日、あんな場面に居合わせちゃったからショックだっただろうなぁ、って」
広瀬が言っているのは昨日の
『工藤シンタ、ぴーこ連れ去り現場』
のことだ。
広瀬は昨日ぴーこにシンタがやって来ていることを伝えに走ってきた4人組の一員だった。
4人の中では一番大人しくて地味なポジション担当で、昨日も興奮していたオーディエンスの中では一番落ち着いて見えた。
「な……な……な、な……何を……」
何かを言わなくてはいけないのに口をパクパクさせるだけで言葉が出てこない。
こいつは、広瀬は何を言っているんだ?
何故、俺がぴーこに惚れていたことを知っているんだ?
ま、まさか、俺の普段から見せていた態度はそんなに分かりやすかったということか?
もし、そうなのだとしたら事態は最悪を更に凌駕する最、最、最、最、最悪だ。