Colorful lovers
「あの……これ」
広瀬の爆弾発言によって動揺しまくり、息苦しくまでなってきた俺の目の前に何やら小さなものが差し出される。
「…………これ……は?」
掠れた声と共に反射的に手を差し出して受け取ってしまったが、俺は頭の整理が全くつかなくて戸惑ったまま。
光沢のある黒い包装紙と真っ赤なリボンで綺麗にラッピングされた小さな箱は、昨日俺がぴーこや他の生徒たちからもらったものと同じ種類のものに見えた。
チョコレート…だよな? これ。
何で?
昨日、広瀬が予備校に来てなかったのならこの行動の意味も分かる。
でも昨日広瀬は予備校にいたし、俺の授業だって受けている。
それなのに、何で今日?
手にした黒い箱と左隣の広瀬とに何度か視線を行き来させ、たどり着いたのは1つの仮説。
寒さのせいか、緊張のせいか、リンゴみたいに頬を赤く染めて俯きかげんに自分の爪先に目線を落としている広瀬に静かに声をかけた。