Colorful lovers
「忘れるなよ?
忘れたら結構傷つくからな、俺」
広瀬が今度は口まであんぐりさせる。
「それまで結論は保留だ。
俺、失恋したばかりなんだぞ?
今は広瀬のこと冷静に考えられねーよ。今は…。
だから待て……つーことで」
「か、か、か、考えてくれるの……!?」
「誠心誠意は俺の一番の売りだから……な?」
信じられない…と囁くように呟いた広瀬はしばらく目も口も開きっぱなしだったけど、やがて勢いよく立ち上がって俺に向かって宣言した。
「私、頑張る!!
ちなっちゃんに負けないからね。
一生懸命女磨きます!」
「おん…………。アホか!学業磨け!!
志望校落ちたら考えてやらねーからな!」
俺も立ち上がって軽くげんこつをお見舞いしてやった。
「そっか」
ペロリと舌を出した広瀬は今まで見てきた中で一番可愛らしかった。
可愛らしいとか、生徒にそんな感情を持つのは初めてだ。
そのことに不安を感じない訳じゃないけれど……。
まぁ、いいか。今日のところはこれで。
そう思うことにした。