Colorful lovers




「ぜっったい誰にも言うなよ?!」


俺の言葉にずっと頭を擦っていた日吉が右手を俺の方へ差し出す。


「じゃ、口止め料。
昨日の飲み代やっぱり割り勘にして」


「何でそうなるんだよ?
昨日はお前が言ったんだろうが。
妹が迷惑かけた分奢るって」


俺が噛みつくように言い返すと日吉はやれやれといった様子で1つ息をつく。


「で、どうすんの?

随分優しい顔して接してたね。広瀬さんと。

あんな顔はうちの妹にしか見せないんだと思ってた」


「離れたとこからくだらねーこと観察してんじゃねーよ」


呆れて日吉を見やってしまう。




「……お前さ、似てるとこあると思う?妹と広瀬」


「は?」


日吉が訝しげに俺を見返す。


そして、何気なく訊いただけだったのに律儀に俺の質問に答えようとして首を捻った。



「うーん、似てないこともないんじゃない?

キャラクターは全然違うけど、芯が強くて頑固そうなところとか。

1度決めたことには相当一途そうな感じするよね、広瀬さんって。

目標でも、恋愛でも?」


「そんなことは訊いてねーし」


苦笑いした俺に日吉は更に続ける。



「2人とも教職志望だし」


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