Colorful lovers
「は? 教職って?」
今度は俺が眉を寄せる。
そんな俺の様子に日吉が「マズい…」と呟きながらバツの悪そうな表情に変わった。
「どういうこと? 日吉くん」
上から首を傾げてやると、日吉はポリポリと頬を掻きながら
「その話はまだしてなかったんだ…広瀬さん。
てっきりさっき話したと思ってたんだけどな」
「だから、ちゃんと話せよ。
広瀬も教職志望って、それ本人からきいたのかよ?」
「まだ教科とかそーゆーのは具体的に決めてないみたいだけど教職目指したいって。
とりあえず志望校は俺たちの大学にするって言ってたよ?」
意外な話に目を丸くする。
「何でお前がそんな話聞いてるの?」
「それはたまたま俺のとこ授業の質問に来たときに。
うちの大学目指したいから色々教えてほしいって言われて。
まだ具体的には決めてないから誰にも言わないで、って釘刺されてたんだった……」
そう言った日吉は俺に向かって両手を合わせ「聞かなかったことにして」と拝んでみせた。
それは無理だろう…。