Colorful lovers
広瀬も教職志望だったなんて。
そんなところまでぴーこに似てるとは思わなかった。
肩からかけていた鞄の中に広瀬からもらったチョコレートをしまう。
まさか2日続けて特別なチョコレートがここに入るなんて思ってなかったけど、これも大切に食べようと思った。
ぴーこに振られた直後に彼女と似ている生徒に好意を告げられるなんて、
こういうのをなんていうんだっけ?
……因果応報?…………違うか。
国語教師にあるまじき思考に頭を振った俺を日吉が不思議そうに見ている。
「何してんの?
で、どうするの?広瀬さんのこと」
「どうもしねーよ。生徒だぞ?
ただ、どうしても無下には出来なくてさ…。
だから、答えは1年後までにゆっくり考えるっつーことで今回はおさめたっつーか……」
「珍し。そこんとこはいつもクールで結論早いはずなのにね、ナベちゃんって。
生徒にはムダな期待をさせちゃいけないんじゃなかったっけ?」
そう言いながらクスクス笑う日吉は楽しげで、俺はもう一度その頭を小突いてやった。
「面白がるな。見たくなったんだからしょーがねーだろうが」
「何をよ?」
日吉が笑うのをやめて俺を見上げた。