Colorful lovers
「……広瀬が紺色のピーコートを脱いだとこ」
俺の答えがよほど意外だったのか、日吉は目も口も大きく開いてポカンとしている。
「ナ、ナベちゃん。
それ、教育者としてあるまじき発言!
脱がせるなんて、そんな……」
「……は?…………はぁ?!
日吉、お前どんな意味にとってんだよ!
そんな下品な意味じゃないわ!!
脱がせるのはコートだけだし!」
「じゃあ、どんな意味?」
「お前の妹に聞けよ」
「いいの? 広瀬さんのこと話すことになるけど」
「やっぱダメ」
俺はため息と共に日吉を睨み付ける。
「とにかく見てみたいんだよ!
広瀬は次に何色のコートを着るのか」
「へ? ナベちゃん、ホントに意味分からない」
「いーよ。分からなくて」
手をヒラヒラ振りながら俺は歩きだした。
そろそろ戻らないと授業に間に合わない。
日吉も首を捻りながら俺についてくる。