Colorful lovers





「なー、お前さ。
生徒たちがここを出ていった後どんな大人になるのか興味持ったことある?」


「ないことはないけど。
生徒はいっぱいいるからなー。
一人一人にがっつり興味は持てないよね。残念だけど」


日吉が首の後ろに手をやりながら答える。



そう、今までは俺もそうだった。


生徒は毎年入れ替わる。
個々に思い入れしていたらキリがない。


ましてやここは予備校。
学校とは違ってひたすら目標達成の手助けだけをするところだ。


俺はただ生徒たちが志望校に合格できるように丁寧に熱のこもった授業をするだけ。


そう思っていたはずなのにな…。


藍色が濃くなり始めた空を見上げて深呼吸をした。


ぴーこだけじゃなく、広瀬にも目標にしてもらえるような教師になりてぇな……。











この想いが即恋愛に繋がるとは思わない。


今はこの問題に答えは見えないけど、初めて生徒に対して大人になった姿を見てみたいと思ったから。


時間をおいてもその気持ちが変わらなければ、その時は答えも出るだろう。





1年後、俺はもう一度特別なチョコレートを待つ。


バレンタインデーの翌日に……。




ーーーENDーーー








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