Colorful lovers
「おかえりー」
竹田はキッチンに立っている私を見て怪訝そうな顔をした。
「今日って晩メシ当番俺じゃなかったっけ?
味噌ラーメン作ろうと思ってモヤシ買ってきたんだけど」
私たちは毎日の家事を全て当番制にしている。
それも学生のりの合宿みたいで私たちから恋愛らしい甘さを奪っている要因のひとつかもしれない。
「そうだっけ?
あ、でも私明日バイトが長引くかもしれないから順番変わってよ。
味噌ラーメン、明日作って」
「ふーん。分かった」
私は竹田からモヤシの入ったビニール袋を受け取って冷蔵庫にしまう。
納豆の3連パックの横で鎮座している小箱が目に入って漏れそうになるため息を必死に飲み込んだ。
「今日は練習に熱が入ってさー。
すげー腹が減ってんだよね」
竹田は部屋に入ってローテーブルの前にどかっと胡座をかいて座った。
彼は大学で友人たちとフットサルのサークルを作り熱中していた。
「そうなんだ。じゃあ、すぐ作るから」
「何作んの?」
「クリームシチューとサラダ」
「やりー!」
機嫌の良さそうな声を耳にしながらニンジンの皮むきを始める。
クリームシチューは竹田の一番の好物だ。