Colorful lovers
「おめでとーさん」
そこに感情があるのかないのか。
相変わらず分かりづらいクールフェイスで棒読み。
「どーもありがと」
こちらも棒読みで返したらフッと表情を緩めた。
その表情の柔らかさはつい最近手に入れたらしい。
良い仕事してるみたいだな、千波は。
自分のことより人を気遣ってばかりで、自分に厳しすぎて。
シンタのそんなところはそばにいても痛々しくて、でも俺がそれを癒してやることは難しかった。
千波は天性の無邪気さでそれをやってのける。
昔から千波だけがシンタを癒せる存在なのは分かっていた。
俺が一番堕ちていた時、一緒に暮らしてまで支えてくれた親友。
だから、俺が出来る恩返しとして、妹との交際を認めてやった。
認めたけど、目の当たりにするとざわつく兄としての心情。
これに慣れる日はいつになったら来てくれるんだろう?