Colorful lovers
静かな静かなチャペル内にグスングスンと鼻を啜る音と嗚咽が響き渡る。
いよいよ挙式本番。
祭壇の前で、今までの人生で一番背筋をピンと伸ばして踊子を待つ。
本当に家族のみの挙式ということで、
新郎側は両親と千波、それにまだ家族ではないけれどシンタ。
新婦側はご両親(お義父さんは踊子と扉の向こうで待機中)と走太、それに同居しているお祖父さん。
この大事な家族たちとこの瞬間を迎えられて良かったと胸が熱くなる。
ただ、ここにいる殆どの者がまだ式が始まってもいないのに泣きっぱなしというのは参ってしまう。
まず、俺の母親がチャペルに入った時点でもう泣いていて、それを宥めていたはずの父親と千波がもらい泣き。
そして、その涙が伝染したのか新婦側のお義母さんまで静かに泣き出した。
それぞれの家族にそれぞれの思いがあって、
この日を迎えたことに感慨深いものがあるんだろうけど…。
これは意外だったけど、走太やシンタも目を真っ赤にしていて、このめでたい場に相応しく恵比寿顔でニコニコしているのは踊子のじいちゃんのみ。
「新婦が入ってくる前から皆さんこんなに感動されているのはちょっと珍しいですね」
そう言いながら、ついには新婦の入場を待って俺のそばに控えていた介添さんまでが鼻を啜りだした。