Colorful lovers





霞がかったオレンジに純白が浮かぶ。



まだ俺の目には小さくしか映らないけど、愛しい真っ白な俺の花嫁さん。



ウエディングドレスは、デザインもラインも極シンプルなもの。
薄いベールには上品な花の刺繍があしらわれている。



もっと凝ったデザインのドレスにしたら?


衣装あわせの時、そう言った俺に踊子はニコリと笑ってみせた。



「ううん。これがいい。

このドレスでバージンロードを歩いたらすっごく綺麗だと思うよ?」







一歩…一歩…踊子が俺に近付いてきてくれる。



燕尾服姿が抜群にキマっているお義父さんと腕を組んで真っ直ぐ歩いてくる姿を見て、
あー……、そういうことだったんだ…と納得した。



陽光とステンドグラスが協力しあって純白のドレスを美しく染め上げる。


シンプルなドレスにその光のイタズラはよく映えて見えた。





赤、青、黄、緑……。



漸く俺のそばまで進んできてくれた踊子は、
様々な色を纏って本当に本当に綺麗だった。










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