Colorful lovers




竹田は私が料理中でもよく話しかけてくる。


「なー、今度の日曜試合あるんだけどたまには観にこないか?」


私は料理の手を止めず、いつもの答えを口にした。



「いーよ、私は。
試合頑張ってね。怪我しないように」


「他のやつらの彼女はみんな観に来るのになー」


「……うん。でも……いーよ、私は」



竹田にこうして誘ってもらうのは初めてじゃない。
何度も声をかけてもらってるけど私は竹田の試合もフットサルの練習も観に行ったことがなかった。


だって、観に行けば他のチームメートたちの彼女がいる。


きっと彼女たちは可愛らしくキャーキャー言いながら彼氏の応援をするのだろう。


でも、ずっと体育会系で高校では女子バレー部のキャプテンを務めていた私は、おとなしく試合を見ていられる自信がない。



『何やってんのよ!パスが甘い』

『そこで何でシュート打てないかなあ?』


なんて本気でヤジを飛ばしてしまう自信なら満々にあるけど。


高校時代に少しだけ付き合ったサッカー部の彼の試合を観に行った時の失態は今でも私のトラウマだ。


この事は竹田もよく知っていて、だから私が1度断れば無理強いはしてこなかった。






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