Colorful lovers
「はい。貸してあげる」
すっかり色濃くなった夕焼け空を見上げた俺にシンタが差し出したのは、綺麗にアイロンのかけられた白いハンカチ。
「いらねーよ。お前が涙を拭いたハンカチなんか」
そっぽを向いた俺にシンタがクスリと笑う。
挙式は無事に終わり、教会の外でライスシャワーも済ませた。
教会の方たちの配慮で暫くはこのまま歓談させてもらえることになり、
踊子は千波と一緒に走太をカメラマンにして写真を撮りまくっている。
「お姉ちゃん、あっちでも撮りたい!」
「いーね。ステンドグラスの前で一緒に撮ろうよ」
はしゃぐ2人に走太は従順にシャッターを切る。
いつもは仲が良いのか悪いのかやりあってばかりいる走太と千波だが今日だけは休戦協定を結んだらしい。
親同士は教会の隅で和やかに会話を交わしていた。
式が終わって、涙を引っ込めた家族たちは皆晴れ晴れとした笑顔を浮かべていて、教会の入り口に佇みながらそれを眺める俺は、達成感と幸福感で一杯だった。