Colorful lovers
「まぁ……サンキューね」
パンツの裾をはたきながらシンタが唐突に口にした言葉に眉を潜める。
「何だよ…いきなり」
「いや、この挙式って親族のみの出席のはずじゃない。
それなのに呼んでもらったからお礼は言っておこうと思って」
「……それは俺の意思じゃなくて、千波に押しきられただけだし…」
漸く涙が治まってきて、ハンカチを弄びながら答えた俺にシンタが首を傾げる。
「ふーん?
千波はそんなこと言ってなかったけどね。
とにかくサンキュー」
シンタはニヤリと笑ってみせてから、教会内を覗き込み千波に向かって小さく手を振っている。
踊子の横にピッタリくっついて笑顔を振り撒いていた千波がそれに気付いて同じように手を振り返した。
「シンタくんも一緒に写真撮ろーよ」
嬉々としている千波が着ているカクテルワンピースはミントグリーンのふんわりしたデザインのもの。
バイト代を奮発して買ったと言っていたワンピースは誰が見立てたか聞くまでもない。
そしてそれは千波にとてもとても似合っていた。