Colorful lovers
第4話・黄色いラブレター



朝目覚めたら、一番始めに目に入ったのは見慣れてきた右腕の先っぽ。


華奢に見えて意外に骨太な手首と繊細に見えて意外に大きくてがっしりとした手。


手首には今年の誕生日以来常に巻き付いているモスグリーンの革製ブレスレット。


緩く閉じられている手は指先がちょうど私の方に向いていて、健康的なさくら貝色の爪が目に入る。


『バーテンダーは指先が一番の商売道具なの』
そう言いながらこまめに手入れをしているので、その爪はいつも短くキレイに切り揃えられている。




この部屋で目覚める度に見ることができるこの角度から見るシンタくんの手が私は一番好きだった。


お店では常に指先まで神経を使って魅せることを意識しているから、こうして無防備な手を見ることができるのは私だけの特権だ。


私はそっと自分の手を伸ばして目の前の大きな手に触れる。


女の私とは違って関節もしっかりしているしゴツゴツしているのにものすごく繊細に見える不思議な手。


指先に触れるとピクリと動いて反射的に私の指を握ろうとする。


私はクスリと笑って自分の手を引っ込めた。










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