Colorful lovers






「ケンカしてたのを忘れてた…だと?」


雪がオレンジジュースのグラスを手にしたまま心底呆れたように私を見つめる。


「そんな珍獣でも見たような顔しないでよ…」


私はテーブルに両肘をついて頬杖をしながら思い切り唇を尖らせた。



「いや、珍獣以上の歴史的天然記念物レベルでしょ。
ケンカした翌朝にそれを忘れて幸せすぎて悶えるとかあり得ないって。
ついに頭の中のお花畑に蝶々まで大量発生したとか?」


「もう!」


手元にあったおしぼりを雪に投げつけようとしたら


「お行儀悪い」


カウンターからピシッとシンタくんの声が飛んできて私は渋々振り上げていた手を下ろした。




「シンタさんって恋人というより保護者みたい。
本当に大人だよねー」


クスクス笑う雪の顔に私は苦い気持ちになる。


それはシンタくんだけじゃなくてあんたもでしょうよ。



シンタくんと雪の顔合わせ。


『はじめまして。工藤シンタです。
いつも千波から話は聞いてます。

こんなめんどくさいヤツと仲良くしてくれてありがとうね?
これからも面倒見てやってください』


『こちらこそはじめまして。宮下雪です。
私もシンタさんのことは千波から散々聞かされてきました。

この子は天然過ぎるとこあるんでご迷惑かけるかもしれませんけど、末長くよろしくお願いします』


お互い見事に私のことをお子さま扱い。


私だってもう子どもじゃないんだからね!




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