Colorful lovers
「ちょっと待ったー!!」
突然大声を出した私に驚いて竹田が手を止める。
私は瞬時に冷蔵庫に駆け寄ると真っ赤なリボンのチョコレートを取り出し、再び竹田に駆け寄った。
「あんたバカじゃないの?!」
勢いそのままに竹田の胸にチョコレートを押し付ける。
「うわっ! あぶねーな、何だよ!!」
竹田は突然の不意打ちに耐えられず押し倒される形になってしまい、
私は竹田に馬乗りの体制になっていた。
「日比野さんってフットサルのマネージャーでしょ?
何で他の女からもらったチョコを平然と私の前で食べるのよ?!
私なら平然とそれを受け入れるとでも思ったの? 友チョコだし?
冗談じゃないわよ!
絶対イヤだ! イヤだ!イヤだ!イヤだ!!!
あんたが今日食べていいチョコはこれだけに決まってるでしょ!!!!」
竹田の胸に押し付けた箱のリボンはグシャッと音をたててつぶれてしまった。
昨日何度もやり直して、やっとふんわりときれいに結べたのに。
何やってんだろ……私。
結局、可愛らしくなんて渡せなかった。
「うー……」
悔しくて涙がポロポロ落ちた。