Colorful lovers
「それにしてもナベ先輩は侮れないよね。
きっちり退治したつもりだったけど図体でかいだけあってしぶといや……。
あ、メイン出るまでもう少しかかるからそれ食べてお喋りしててね」
シンタくんは爽やかに雪に微笑みかけてからカウンターへと戻っていく。
今夜のメインには雪の好物を作ると約束してくれていた。
「いーな。シンタさんってすごく素敵。
対応もさすが大人だし。
シンタさんがあんなスマートに失態を水に流してくれてるのに何でいつまでも千波は不貞腐れてるのかねー?」
シンタくんの背中をうっとりと見送った後、トングを器用に操りサラダを取り分けながら雪が私を小さく睨む。
「違うもん。私、そんなんで不貞腐れてるんじゃないから」
「じゃあ、何でなの?」
「今朝、もう一度ケンカした」
「はぁっ?」
雪がポカンと口を開けて私を見る。
「まぁ……ケンカっていうか、私が一方的に怒ってるんだけど」
「そりゃ、見てれば分かるわよ。
千波…ワガママもたいがいにしなさいよ?」
「ワガママじゃないもん!!」
私は雪に向かって大きく身を乗り出した。