Colorful lovers
「…………千波?」
シンタくんが起きたのは30分後だった。
その声に私はパタパタと寝室に駆け寄り
「おはよ」
ドアから顔だけ出してニッコリ笑ってみせる。
「ーーー焦った」
シンタくんが右肘をついて半身を起こし、寝ぼけ眼を何度か瞬きしてから頭をがしがしと掻いた。
「帰っちゃったのかと思った……」
「私が? 何で?
今日は雪が来るまで一緒に過ごす約束だよ?」
「そうなんだけどさ…」
そう呟きながらすっかり覚醒したらしいシンタくんが私を小さく睨み付けておいでおいでをする。
「な、何? どしたの?
ーーーーうぎゃっ!」
首を傾げながらベットに近づいた私は右手をぐいっと引かれて色気ゼロの雄叫びと共にまたシンタくんの腕の中に閉じ込められてしまった。
そして、半身を起こしていたはずのシンタくんと一緒にボスッとマットレスに倒れこんでしまう。
「焦らせるな、バカ」
シンタくんが私をギュッと抱き締めて、頭をグシャグシャかき回した。
「ちょっ……!」
抗議しようとしたけど身動きがとれない。
しばらく私はシンタくんにされるがままだった。
「ホントにお前は……」
一頻り私の頭を撫で回して手を止めたシンタくんが大きく息をついて自分の顎先を私の頭に埋めるようにする。
「目覚めて横にいないとかあり得ないから」