Colorful lovers









「ーーーなぁ」


暫しの沈黙の後、下から竹田が手を伸ばし私の頭をくしゃりと撫でた。



「俺、日比野が女だなんて言ったことあったか?」


「……は?」


「日比野はフットサルのマネージャーだけどさ……男だよ?」


ずっと鼻を啜っていた私の動きがピタッと止まる。
竹田は小さく息を吐き出したあと続けた。



「サッカーとか見るのは好きだけど、やるのは嫌いっていう変わり者の男なんだけど、日比野は。

それにさ、確かに友チョコって言ったけど、そいつに何か少しでも意味があると思うか?」



私は竹田の言葉に目を丸くしたまま、ローテーブルを振り返る。
そこには竹田が放り出してしまった友チョコらしいものがあった。



「お前、勘違いも大概にしろよ?」


ゆっくりと起き上がった竹田が私を膝の上に乗せたままその友チョコを手に取る。


「俺はこのお菓子はサラミ味が鉄板だと思うんだけど、チョコ味ってどうよ?」


「…………いや、鉄板は明太子味かチーズでしょ…」



竹田が手にしていたのは30円の美味しいスティック。
チョコレート味だった……。


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