バレンタインの奇跡【短編】
私は教室に戻った。


…よかった。


誰もいない。


これなら思いきり泣ける。


泣いてスッキリして帰ろう。


そう思って頭を伏せた。


声を殺して泣いていた。


思えば高校1年生の頃からの片想いだったな。


叶わない恋だと心の何処かでは分かってたのかもしれない。


それでももしかしたらと夢見てた。


姿を見れば目で追っていて、苦手だった日本史も先生に褒めてもらいたくって徹夜で勉強したりした。


友達には先生を好きだなんて半分は冗談だと思われてたかもしれない。


でも私は…


私にとっては本気の恋だったよ。


本当はあの時、好きです。


って言いたかった。


でもそれって完全に私の自己満足だよね。

先生を困らせることは私は出来ないと咄嗟に思った。


そんなことを考えながら泣いていると、足音が聞こえてきた。


やばい。


泣いているのがバレる。


咄嗟に私はベランダに出て、隠れることにした。
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