バレンタインの奇跡【短編】
「気合い入ってるね〜」


大親友の知恵ちゃんが言った。


「そりゃそうでしょうよ!
今日こそ絶対想いを伝えるって決めてきたんだから。」


「その田中先生、もう女子に囲まれてるけど」


知恵ちゃんが指す方を見ると愛しの田中先生が!!


そしてその周りの女子たち。


「先生、私たちからです!
受け取ってくださ〜い!」


すでに渡してやがる!!


「ありがとう」


そして、もらってるし…


田中先生はウチの学校の教師陣の中で群を抜いてイケメンだ。


そりゃ、バレンタインなんて行事があればチョコをいくつもらうことになるだろうか。


毎年そうだった。


私も去年、一昨年とチョコをあげなかった訳ではない。


ただ完全にその他大勢に含まれていた。


でも今年は…


高校最後の今年こそは想いを伝えるんだ。


その他大勢で終わる訳ではいかない。
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