バレンタインの奇跡【短編】
「わっ!誰かと思ったら福本か」



私は反射的に離れた。


「…………



………先生、結婚するんですか?」


「…もしかして、さっきの話聞こえた?」


私は声を出せなかった。


声を出すと涙で震えてしまいそうだったから。


私は首を縦に振った。


「まぁ福本には言うか。


先生、結婚が決まりました。


みんなには卒業式の後にサプライズで言おうと思ってたんだけどな。


だからみんなには内緒にしててくれる?」


そっか。


先生にはちゃんと大事な人がいたんだね。


全然気づかなかったよ。



でも……



「先生、あのコレ……!」


私は用意しておいたガトーショコラの紙袋を目の前に出した。

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