【短】キミのこと、多分好き。
胸はドキドキする。
好きなんだと思う。
人としては、間違えなく好きって、言える自信がある。
だけど、
「恋って、わからないから…っ」
この感情が、どうとか、わからない。
私が言葉を吐き出すと、
「…わかった」
彼は、少し俯き加減に答える。
「俺、最後にするって言ったから…。
…ごめん。今までつきまとって。」
それは違うよ。
つきまとわれてたなんて、思ってない。
すると彼は、私の頭にポンと手を置いた。
「“伊緒”、またね。」
そう言って、私の手の上に、包装されたチョコレートが置かれる。
「ハッピーバレンタイン。
…逆チョコね。」
私は彼を呼び止めるなんて、できなかった。