もう一つのダイヤモンド

ご飯を早炊きにして、冷凍庫にストックしてあった魚を焼いて、ほうれん草のおひたしを作る。何か、The和食の献立になってしまった。

バタバタと用意が整ったところで、インターホンが鳴る。


「おつかれさまです。」

ドアを開けると、スーツ姿にコートを羽織った隼人さんがいた。スーツ珍しいな。

そして、かっこいい。背が高く、広い肩幅にスーツが似合う。

「おつかれ。」

そう言って、ふと微笑んでくれた顔は、甘い。

「…スーツ、珍しいですね。」

「あー大学に行ってたから。」

「…?」

隼人さんは大学病院の所属の医者で、総合病院には派遣されてきている。近隣の大きな病院は、大学の医局から医師が派遣されていることが多い。水曜日って大学病院の外来はなかった気がするけれど。

< 5 / 70 >

この作品をシェア

pagetop