捧げる愛、抱きしめる愛
それから、バタバタと本家は騒がしかった。
集会で「こんな夜中に招集かけないでよ!起こされたこっちの身になってよね!もう眠いわ〜美容に悪いわ〜」とお袋が喚いていたが、裕貴が事情を話して、俺が女に惚れてると伝えた途端、「あなたにもついに春が!」なんて言いやがった。
組員からも驚いた視線をもらった。
とにかく、アイツを俺の女と思って扱えと言い放ってきた。
連絡するためだけの集会だったのに、いつの間にやら俺に女ができた祝の宴になっていた。
ほんとうざってえな。
そんなこんなあって、女を拾ってきてから3日経った。
まだ目覚めない。
今日も生気のない顔を眺めるだけで終わりかとがっかりした気持ちで自室の扉を開いた。
彼女が、こちらを見つめてきた。
紫がかった赤の瞳。
……ワインレッドの惹き込まれるそれに、柄にもなく嬉しい気持ちが込み上げてきた。