捧げる愛、抱きしめる愛
若き女帝、戸惑う。side.カロッサ
私はレイが発した言葉を理解する魔法がなかったかと考えこむ。
今まで沢山の魔法記載本を読んできた。
なのに、肝心なときにその知識が活かされないのでは読んだ意味がない。
何があったか、どんな魔法だったか…。
「『見つけた…』」
「あ?」
彼が怪訝そうな顔をする。
「『デ・ルルサ・デ・トルサ・ヴィ・モ・レード・ヴィ・モ・ディーヴォ』」
これで合っているはずだ。
突然、私の身体が白く光りだした。
安堵した。
光りだしたということは、魔法が成功したということ。
「!?」
レイが口を開けて目を丸くする。
何故驚いている?
魔法など、誰でも使えるであろう。
「……通じるか?」
私が発した言葉なのに、私の耳には馴染まぬ言葉。
「え…?」
「通じるかと聞いておるのだ。通じるか?」
「あ、あぁ…」
「ふむ。ならばよい。この魔法は高等魔法に分類される魔法故、扱える者も限られておる。見たことのない魔法であったろう?」
「魔法…だと?」
「まあそんなことはよい。とにかく、助けてくれてありがとう。では」
私は寝具から出る。
ふと、気が付いた。
「何だ、この見慣れぬ衣装は」