捧げる愛、抱きしめる愛
ここが異世界ならば、この世界のことを理解せねばなるまい。
無知とは、無防備であるということ。
そんな状態で元軍人がいろいろほっつき歩くことなどできぬ。
「どうやらそうらしい。では、改めて自己紹介しよう。私はトラート大陸ザンドラヴル帝国先王、カロッサ=ザンドラヴルである。そなたは?」
先王という言葉に大層驚いている様子。
「…俺は閑野崎怜(かんのざきれい)。閑野崎組若頭だ。27」
「若いな。私は25だ」
「お前の方が若いだろ」
「…私はもう死んでおる」
「は?生きてんじゃねえか」
「こちらに来る前自殺した。私はこの世界で生き返ったらしい」
「自殺だと…?」
「珍しいものでもあるまい?」
「…………」
「この世界のことを、知りたいのだが。教えてはくれぬか?」
「……あぁ、わかった。そのかわり、お前のことも教えろよ。お前の世界を」
「…もちろんだ。」
いろいろなことをレイに教えてもらった。
根掘り葉掘り聞いたおかげで、だいたい理解できた。
レイは疲れていたようだが。
とても難しい話であったが、ここは宇宙に存在する地球という惑星にあるらしい。
地球の中の日本という国。
国王がいないらしい。
民主主義だとか。
組のことも教えてもらった。
裏社会……なんだそうだ。
レイの立場も理解した。
頭の中を整理する時間がほしいところだ。