捧げる愛、抱きしめる愛
若き女帝、賭ける。side.カロッサ
「カル嬢〜!」
声がした方に目を向ける。
「あら、裕貴、どうしたの?」
「若が呼んでるよ~」
「ふふっ。また裕貴が頼まれちゃったのね?」
「もう!若が人使い荒いのはもともとだけどさ〜、俺疲れちゃうよ〜。まあカル嬢を呼ぶのは苦じゃないけどさ」
「怜に言っておくわ。裕貴があなたに文句言ってたわよって」
「え、や、そんな、やめてよ〜」
「冗談よ。わざわざありがとう」
「どういたしまして〜」
閑野崎組本家のだだっ広い庭にある池の横。
まさに日本庭園という景観。
私はそこで一人体を動かしていた。
"敵が十人。逃げ場はなく、囲まれている"という設定で戦闘していた。
体を動かしながらのイメージトレーニングというわけだ。
このまま続けたかったけれど、怜に呼ばれたとなれば別。