捧げる愛、抱きしめる愛
扉を開けて中に入る。
グレーで埋め尽くされた部屋。
彼の部屋。
彼はL字型の灰色のソファに座っていた。
「怜」
「カロッサ」
私は彼に声をかけながら隣に座る。
「どうしたの?日曜の、しかもお昼に呼び出すなんて。珍しいわ。いつもなら会社の資料に目を通しているでしょう」
「あぁ、……カロッサ」
怜から話をきり出せないようだ。
「あのな…」
「ええ」
怜は数秒間ギュッと目を閉じ、決意したように目を開いた。
「俺と、婚約してほしい」
「……婚約?」