捧げる愛、抱きしめる愛
普段ポーカーフェイスの怜が顔に出すなんて、よほど女性に付き纏われるのが嫌なのかしら。
二年の付き合いだけれど、そんなこと初めて知った。
二年というのが短いのか、はたまた私が怜に興味がなかったからかしら?
初めて会ったときに何か胸に感じるものがあったから、決して興味がないわけでは無かったと思う。
彼を想って顔が少しだけ赤くなることもあったし…。
……う〜ん……。
思考を巡らせながらチラっと古賀優里の方を見る。
交わる視線。
キッと音がつきそうなほど睨みつけてくる彼女。
あら…お綺麗な顔が台無しだわ。
「はぁ〜……。これから自分の身の安全を考えないと」
「はは、あの女がお前に嫉妬して何かしてくると?」
「可能性があるってこと。あなたが何者か理解できているならそんな馬鹿なことはしないはずだけれど」
「……女は怖いな」
「本当よ。女の嫉妬は怖いものよ、怜。それに巻き込まれるのは勘弁なのに…。面倒ね、色恋って」
「……あぁ、面倒でくだらないものだな。だが、新鮮だ」
「…私にはわからないわ」
「お前も俺を好きになればわかる」
……相変わらず自信満々のようで。