空と君との間には
更に、紗世は愛里が「『結城由樹』って名前で、ハーバード大学を飛び級で卒業していて、仕事も凄く捌けるんだって」と、いつになく目を輝かせ話していたことを思い出した。

――か、彼が「結城由樹」!?

紗世は口を金魚みたいにパクパクさせて、言葉を失い立ち尽くす。


「麻生くん。君には由樹が仕事を教えるから、仲良くね」


「はい……えーーーっ!!」

紗世は編集長の渡部と、ソファーに伸びているイケメン「結城由樹」を交互に見つめる。


「この人にですか?」

ショートボブの黒田芽以沙が、苦虫を噛み潰したような顔で、紗世を睨んでいる。


「嫌かい!? 由樹は入社以来、担当作家先生の原稿を1度も落とさせたことがないんだよ」

紗世は結城由樹が編集長「渡部篤史」に、全面的信頼を得ていることを知る。
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