空と君との間には
結城をキリリ男前にしたような顔が、優しく言う。


翌朝。

紗世はグリーンノートの香りと、細く甘い声で起こされた。

正確には……。


「おい、いつまで寝てるんだ。7時前だ。1時間のロスタイムだ」


紗世は、冷えたミネラルウォーターのペットボトルを、頬に押し当てられ飛び起きた。


「やっぱりな、65Aカップだ」


紗世は慌てて胸を隠す。


確かにサイズはピッタリ合っている。

昨晩。

風呂場に用意されたボディーソープもシャンプーも、仄かに香るフローラル。


普段は来客用だという部屋をあてがわれた。


「昨日の服は紙袋の中、そこに用意した服……姉貴が着て行けって」


ハンガーにかかった清楚過ぎない上品なスーツ。


紗世は大きな目を丸くし、瞬たく。


「姉貴、トータルビューティーコーディネーターだから」


結城はさらりと言って部屋を出る。
< 138 / 312 >

この作品をシェア

pagetop