空と君との間には
6章 君が涙の時には

1話 傷を庇うように

――病院で順番を待つ時間は、何故こうも不安なのか

結城は検査で、名前を呼ばれるたび溜め息を漏らす。

朝から胸部X線写真、心電図、運動負荷試験、心エコー図、心音図など1通りの検査を終え、一息つく。

主治医の問診と検査結果を聞き、薬局で薬を受けとると、正午を回った。

結城は病院はただ居るだけで、体力を消耗させる場所だと思う。

月に1度の定期検診、結果は前月よりも数値的には厳しかった。


――立て続けに滅入る事が色々あれば、体調が乱れても仕方ない


結城は思ってみるものの、自分自身の脆弱さを悔やむ。


「詩乃、ごめん。終わったから迎えに来て……電車で帰れる気力も自信もない」

結城は姉「詩乃」に情けないと思いつつ、メールを入れる。

詩乃から「わかったわ」と返信が届く。

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