空と君との間には
「おお、麻生すまんな」


「いえ、伝えたいことって何ですか?」

紗世は単刀直入に訊ねる。


「麻生、人事異動だ」

紗世は小今田部長から、手渡された書類をまじまじと見つめる。


「明日から編集部へ行ってくれ」


「えーーーっ」

紗世の雄叫びが、広報部中に響き渡る。


「何でですか? 私、何かやらかしました!? 私、今日は萬寿堂書店との商談もちゃんとOKもらってきたんですよ~」

人事異動通知を両手で握り、紗世は泣き出しそうな顔で訴える。


「まあまあ、麻生。お前さんの広報に関して不満はない。よくやってくれたし、感謝してる」

小今田部長は満面に笑みを浮かべて、紗世を労う。


「だったら、何で異動なんですか?」

紗世は目にいっぱいの涙を溜めて、小今田部長を見据える。

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