空と君との間には
しかも、格言う結城自身もグリーンノートの爽やかな香りを纏って、いつも颯爽と闊歩している。


紗世はつくづく、繊細な人だと思う。

口には出さない。

そんなことを結城本人に言えば、きっと結城は「お前が鈍感すぎるんだ」と失笑されてしまう――と思うから。


「で、万萬の原稿を預かってきたんだよな」


「はい。原稿チェックはちゃんとしました。問題はなかった……って思います」

紗世は言いながらパソコンを立ち上げUSBを入れて、万萬の原稿を開く。


USBと共に預かってきた、打ち出し原稿も相田に見せる。

相田は画面と打ち出しした原稿を数ページ読み、「さすがだな」と呟く。


「編集長が沢山先生の連載にぶつけるだけあるよな」


「『限りなくグレー近い空』を読んだ時以上に震えます」


「だろう!? この主人公『吉行斎』結城がモデルなんじゃないか?」
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