空と君との間には
2章 ヒーローにはなれない
1話 お局様へ
沢山江梨子のマンションから、相田が結城を抱きかかえ、車に乗せて紗世の運転で帰社する。
紗世は会社の駐車場から、編集長に電話を入れ、なんとか編集部へ戻ってきた。
結城はまだ、ソファーに伸びたまま目を覚まさない。
確かに沢山江梨子のマンションは香水の匂いが、どぎつかった。
噎せ返るような香水の匂い。
紗世も、あんな凄い匂いの香水は初めてだった。
それにしても……と紗世は思う。
「麻生くん、どうなった? 沢山先生は」
編集長、渡部篤史が期待を込め訊ねる。
「はい、猛然とパソコンのキーを叩いていらっしゃいました」
「ほお! さすが由樹だな。沢山江梨子は大嫌いだと言っていたから、どうなることかと思っていたが……」
渡部が「間に合いそうだな」と満足気にほくそえむ。
紗世は会社の駐車場から、編集長に電話を入れ、なんとか編集部へ戻ってきた。
結城はまだ、ソファーに伸びたまま目を覚まさない。
確かに沢山江梨子のマンションは香水の匂いが、どぎつかった。
噎せ返るような香水の匂い。
紗世も、あんな凄い匂いの香水は初めてだった。
それにしても……と紗世は思う。
「麻生くん、どうなった? 沢山先生は」
編集長、渡部篤史が期待を込め訊ねる。
「はい、猛然とパソコンのキーを叩いていらっしゃいました」
「ほお! さすが由樹だな。沢山江梨子は大嫌いだと言っていたから、どうなることかと思っていたが……」
渡部が「間に合いそうだな」と満足気にほくそえむ。