空と君との間には
エピローグ
結城はフラッシュライトを浴びていた。

円山夏樹出版編集部１社員「結城由樹」、また作家「万萬詩悠」両方の立場でマイクを握る。


編集部編集長、渡部と円山冬樹出版社長を両隣に。

深々と頭を下げる。


「すみませんでした。
今まで万萬詩悠が聴唖と偽り、作品を書いていました。
１年半前。同僚の事故を目撃した衝撃で突然、喋れなくなり、リハビリをしていた時、群青新人賞を受賞させて頂きました。
故意に嘘をついた訳ではありませんでした。
１年余り、手話と筆談でしか話せなかった。
もう２度と喋れないと諦めもしました。
幸運にも今こうして、自分の声と言葉で、謝罪させていただけることに感謝します。
関係方々、また読者の皆様、本をご購入いただいた方々に心から、謝罪させていただきます」

結城は丁寧にゆっくり、頭を下げる。
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