空と君との間には
紗世は不安そうに立ち上がり、結城と黒田を交互に見て、給湯室に向かう。


「由樹、起こしちゃったわね」

黒田がつり上がっていた目を下げて、猫なで声を出す。

結城はゆっくりと背伸びし、紗世が給湯室に入ったのを確認し、黒田を見る。


「いえ、1時に起きる予定でしたから」


「アラームで起きないからって、揺さぶり起こすなんて」


「アハ……気を遣わせちゃいましたね」

結城は目尻に手を当て、顔を半分隠し、すまなさそうに言う。

そして……スクッと立ち上がる。


「黒田さん、俺……頼りないですけど、麻生は俺の部下なんで、俺がちゃんと育てますから。黒田さんにはそっと見守っていてもらいたいんです」


「由樹……」


「黒田さんのお気持ちは凄く、嬉しいです。生意気言ってすみません。お願いします」

結城は深々と、頭を下げる。
< 35 / 312 >

この作品をシェア

pagetop