空と君との間には
4話 ヒーローにはなれない
「どうした、眠れなかったのか? 目が真っ赤だぞ」
結城が出社した紗世の顔を覗きこむ。
「おはようございます」
紗世は結城と目を合わさない。
「麻生……」
結城は紗世の様子が気になりながら、出かける用意をする。
「麻生くん、ちょっと」
編集長の渡部が紗世を呼ぶ。
紗世は「はい」と明るく返事をし、渡部の席に近づいていく。
「麻生くん、これを広報部の小今田部長に届けてきて」
「小今田部長ですね」
「うん、西村先生の新刊に関する書類」
「はい」
渡部は紗世に茶封筒を言付け席を外す。
紗世は渡部から預かった茶封筒を大事そうに、胸に抱え、結城の側を横切る。
――麻生? 避けられている
結城が素早く紗世の肩に手をかける。
「麻生、ちょっと待て。そんな腫れた目で古巣に行ったら……こっち来い」
結城が出社した紗世の顔を覗きこむ。
「おはようございます」
紗世は結城と目を合わさない。
「麻生……」
結城は紗世の様子が気になりながら、出かける用意をする。
「麻生くん、ちょっと」
編集長の渡部が紗世を呼ぶ。
紗世は「はい」と明るく返事をし、渡部の席に近づいていく。
「麻生くん、これを広報部の小今田部長に届けてきて」
「小今田部長ですね」
「うん、西村先生の新刊に関する書類」
「はい」
渡部は紗世に茶封筒を言付け席を外す。
紗世は渡部から預かった茶封筒を大事そうに、胸に抱え、結城の側を横切る。
――麻生? 避けられている
結城が素早く紗世の肩に手をかける。
「麻生、ちょっと待て。そんな腫れた目で古巣に行ったら……こっち来い」