空と君との間には
バーンッと、音が鳴るほど勢いよくドアを開ける。


「おはようございます」

爽やかなアイドルスマイルで……。


由樹(よしき)、熱は下がったか?」


「はい、大丈夫でーす」

紗世はドアの外で固まっている。

紗世が入ろうとしたドアは勢いよく開いた後、勢いよく閉まったのだ。
紗世の顔面すれすれで。


「あっ、編集長。今日から編集部に異動っていう女の子が……ん!?――入って来ないな」

中の会話を知る由もない紗世。

気を取り直して、勢いよくドアを開けた。

ガタンッと何かがぶつかる音と「痛っ」と呻く声が重なる。

紗世の目の前に、鼻血を滲ませたイケメン。


「キャーッ、ごめんなさい。だ、大丈夫ですか!?」

紗世はイケメンが手についた鼻血を確認して、崩れるように卒倒する様を、唖然と見つめていた。
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