僕は、先生に恋をした
僕は、先生に恋をした⑧

学校


帰宅準備をして
他の先生と挨拶を交わし

職員室を後にするはるか

いつものように
校門の外で潤平が待っている

潤平『おつかれさま』

笑顔でそう言う潤平に
笑顔で返すはるか

はるか『おつかれさま』


駅までの帰り道

こうして一緒に帰る時だけが
二人で過ごす唯一の時間

自転車をひく潤平

その隣で歩く橘

――――――――――


同じ頃

アルバイト先に向かう夏美

道路を挟んだ反対側の歩道で
自転車をひいて歩く潤平の姿が目に入る

声をかけようと、手を上げた瞬間

潤平の隣に
はるかがいることに気付く夏美

声をかけるのを止めて
夏美は二人の後をついていく


夏美に全く気付いていないはるかと潤平は
仲良さそうに話しながら歩いている

潤平『先生は正月どう過ごすんですか?』

はるか『私は毎年、実家の新潟に帰るの』

潤平『へ~、先生の実家って新潟なんだ?』

はるか『うん、何にもない田舎町だけど
    やっぱり実家は落ち着くのよね…

    望月くんはどう過ごすの?』

潤平『俺は去年同様、洋介と山こもるかな~』

はるか『山にこもる?』

潤平『うん、洋介の知り合いで
   山荘経営してる人がいてさ
   そこに住み込みで手伝うんだ

   バイトしながらスノボーも出来るなんて、最高だよ』


楽しそうに話す潤平を見て
はるかも笑みがこぼれる

そんなはるかを
愛しそうに見る潤平

駅に着く二人


はるかの手をひき
抱きしめる潤平

潤平『正月は会えないね…』

はるか『…うん』


しかし

そんな二人の姿を
後から夏美に見られてることに

はるかも潤平も
全く気付いていない


――――――――――

夏美の家


バイトに行かず
家に帰って来てしまった夏美

真っ暗な部屋の中で
電気も付けずに座っている

潤平とはるかが
抱き合っていたことを
思い出している夏美

その時

ピロリンピロリン

夏美の携帯が鳴る

バイト先からだ

携帯を手に取り

部屋の片隅に飾られた
写真立てに向かって投げつける

携帯が当たり
写真立てが音を立てて床に落ちる


その写真は
合宿の際に撮った集合写真だった

みんなが笑顔で写っている

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