僕は、先生に恋をした
居酒屋
潤平が一人
カウンターで潰れている
テーブルの上でうつ伏せになっている潤平の隣で
携帯電話がずっと鳴っている
はるかのことが気になり
洋介が潤平に何度も電話をかけてくれていた
しかし
それに気付かない潤平
『お客さん、もう閉店だよ!』
カウンターにいる大将が
怒った口調で潤平に声をかける
――――――――――
一人帰り道をフラフラと歩いている潤平
向かった先は教会
以前
はるかを連れてきた思い出の教会だ
今ではイルミネーションも外され
ひっそりと佇んでいる
教会の前のベンチに座って
教会を見上げる潤平
はるかと一緒に
ここでイルミネーションを見た時のことを
思い出している
そして
今日はるかに言われた
『ごめんなさい』
そのたった一言の言葉には
深い意味が込められていることを
潤平はわかっていた
潤平『さみー』
そう言って、ポケットに手を入れ
上着に首をうずめる
教会を見上げる潤平の目には
涙が浮かんでいた
――――――――
橘家
ガラリとした
はるかの寝室
和室では
義父と義母が仏壇の前に座っている
義母が雅紀の遺影の前に置かれた
小さな箱を手に取ると
パカッと開く
箱の中には
はるかと雅紀の結婚指輪が2つ
並んで入っている
それを眺める義母
義母『…家の中が寂しくなっちゃいましたね』
義父『また、家族3人に戻っただけのことだよ』
義父の言葉に
寂しそうに微笑む義母
義母『そうですね』