僕は、先生に恋をした
僕は、先生に恋をした②
橘家
帰宅したはるかが
洗面所で手を洗っている
鏡に写る自分の姿を見て
今日のことを思い出す
教頭に言われた言葉
夏美の母親のこと
夏美の笑顔
そして…
左手で右の肩を触りながら
潤平に抱きしめられたことを思い出す
鏡に写っている
左手の結婚指輪を見つめるはるか
――――――――――
次の日 学校
教室に入るはるか
夏美が出席していることに安心する
夏美に笑顔を向けるはるか
笑顔で返す夏美
一方
隣の席のタクミとしゃべっている潤平
はるかの様子が気になってしょうがない
そんな潤平の視線も気にせず
はるかはいつも通り授業を始める
――――――――――
授業後
いつものように生徒から囲まれ
質問攻めにあうはるか
タクミ『潤平帰ろうぜ~』
タクミの声に
はるかはつい潤平の方を向いてしまう
一瞬
目が合うはるかと潤平
しかし
すぐに目をそらし
生徒からの質問に答えるはるか
そんなはるかの姿に
潤平は肩を落としながら
教室を後にする
――――――――――
夜 橘家
隣で寝ている悠人の寝顔を見ながら
はるかが誰かと電話をしている
はるか『うん…うん…仕事もだいぶ慣れてきたから
悠人も元気で良い子にしてる
私は大丈夫だから心配しないで』
電話の相手ははるかの旦那か
それとも…
――――――――――
朝 橘家
朝食の準備をして
悠人を起こしに行くはるか
なかなか起きない悠人のおでこに手を当てる
熱が出ていた
――――――――――
一日悠人につきっきりで
看病をするはるか
時計を見る
もうすぐ出勤の時間
しかし
悠人の熱はまだ下がりそうにない
はるかが学校に電話をする
教頭『そうですか、わかりました
お大事にしてください』
はるか『急にすみません、よろしくお願いします』
電話を切り
はるかが心配そうに悠人を見つめる
部屋の扉を開く義母
義母『学校大丈夫だった?
私が看病するから、はるかさん仕事行ったら…』
はるか『大丈夫です
こういう時くらい
悠人にはついていてあげたいんです』
そう言って
はるかが義母に微笑む
――――――――――――
教室
ガラガラ
扉を開く教頭
橘先生じゃないことに驚く生徒たち
潤平も驚いている
教頭『橘先生は本日お休みです
なので、橘先生に代わって私が授業します』
『え~!!』
『橘先生どうしたんですか~?』
『風邪~?』
教頭『え~!とはなんだ!失礼だな!』
教頭の言葉に大笑いの生徒たち
はるかが休みと聞いて
潤平が心配そうな表情をする
――――――――――
授業後
教室を後にする教頭
後ろから追いかけて来た潤平が
廊下で教頭を呼び止める
潤平『教頭先生!』
振り向く教頭
教頭『ん?望月くんか、どうした?』
潤平『あの…橘先生、体調でも崩されたんですか?』
教頭『ああ、橘先生のお子さんが風邪を引いたそうだ
その看病のために休まれたんだよ』
潤平『そうだったんですか…』
教頭『まあ、先生のご家庭も色々と大変だからね
君たちも橘先生にあまり迷惑かけてはいかんぞ』
潤平『…色々と大変って…先生の旦那さんは
日本に帰って来ないんですか?』
潤平の質問に
教頭の表情が突然険しくなる
教頭『望月くん
先生のプライベートにまで首を突っ込むのは
先生あんまり感心しないな』
潤平『はぁ…すいません』
潤平が謝ると
笑顔に戻る教頭
教頭『じゃ、勉強頑張りなさい!』
そう言うと
潤平の肩をポンポンと叩いて去って行った
教頭の言葉に
すっきりしない顔の潤平
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朝 橘家
寝ている悠人の熱を測るはるか
平熱に戻って安心する
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望月鉄工所
仕事をしている潤平
職場の親方でもあり
自分の父親でもある克彦に叱られながらも
真面目に仕事をしている
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牧田家
寝ている母親の横で
夏美が荷物をまとめている
家を出ていくつもりだ
そんな夏美に何も言えず
寝ているふりをする母親
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駅前
暇そうなタクミが
近くにいる女の子に声をかける
しかし
軽くあしらわれている
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バイク販売店
バイクの販売店で働いている洋介
修理に訪れたお客さんと
楽しそうに会話をしている