神様の落としもの
昨日の床の上睡眠のせいで疲れが取れていないのか、講師の声が子守歌にしか聞こえなかった。

俺は机に顎を乗せた姿勢で勇磨に話しかけた。

「勇磨…俺、限界…。先生歌上手すぎだぜ…。俺が喉自慢の審査員だったら確実に鐘鳴らしてやったのに…。ノートは任せた!!おやすみ…。」

そう言いながら、俺は重たい瞼を軽々と閉じ眠りについた。

「おやすみぃ~。」

勇磨はそう言い、やけに俺の寝ぐせが気になるのか、そっと髪を直してくれた。

人に頭を触られると何故か安心感が得られる。

それがたとえ相手が男だとわかっていても、心地よいものだった。

授業はあっという間に終わっていた。

勇磨に起こされるまで、しっかり熟睡した。

「おはよう。もうお昼だぜ~。飯飯ぃ~!!」

勇磨の軽快な声が寝起きの俺の頭に痛いほど響く。

「うぅ~ん!」

バキバキッと体の節々を鳴らしながら、俺は後ろに少し反りながら背伸びをした。

背伸びの途中で俺は我に返った。

「あっ!治ってる!」

「良かったね。」

後ろで授業を聞いていた子と目が合い、そのまま祝いの言葉を掛けられた。

「あっ…ありがとう…。」

なんだか恥ずかしくなって俺は急いで、反ったままの体を元に戻した。

今までクラスメイトの女子を異性として意識していなかった俺が、勇磨に彼女が出来た事によって女子を女性として意識してしまうようになっていた。

うっわぁ~、絶対俺変な顔してたよな今…。

あくび+逆さだからなぁ…。

不意打ちのアホ面はいただけないだろぉ…。
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