神様の落としもの
唐揚げを運ぶ俺の手が止まる。

「お前って実家だった?」

俺は素朴な疑問を投げ掛けた。

「はぁ?今更何確認?1年の時から一人暮らししてるでしょうよ!お前、床で寝た衝撃で記憶障害になったか?」

勇磨が複雑な表情をして俺を眺めてきた。

「いや…そうじゃないけど。だって弁当…。えっ…!!お前!自炊始めたの!?」

俺は持っていた唐揚げを落として勇磨に問いつめた。

家事まで勇磨に先を越されるとは…相当ショックを受けた。

「いや、いや。自炊なんてする訳ないでしょ!今日は彼女特性☆愛情弁当なのらぁ~!」

勇磨はそう言い、俺に弁当を突きつけてきた。

「はぁ…?まじで??彼女って弁当まで作ってくれるの?」

愛情弁当…。

響きがうらやましかった。

「も~らいっ!」

俺は悔しさに出汁巻き卵を一つつまみ食いしてやった。

愛情をたっぷり感じられる一品のお味は絶品だった。

「あうっ…。俺の卵ぉ~。」

勇磨は箸を加えて悲しそうな顔をした。

「愛情に~、飢えている佐家神に、清き手を~☆」

勇磨は学食で大声で叫びだした。

「おい!おい!やめろって!ごめん、ごめん。もう取らないから
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