神様の落としもの
「う~ん…。」

俺は何故か雲のような、真っ白でフワフワしたところに寝ころんでいる夢を見ていた。

「目が覚めた?」

遠くから天使が一人、スーッと俺の方に寄ってきて声を掛けてきた。

天使は白い服を身にまとい、背中からは羽が生え、不思議なステッキを持っていた。

スカートは足よりも長いのか、それとも足がないのか…。

これは…夢?

俺は今、生死をさまよっているのか…?

まだ恋もしていない俺が…?

まだ…死ぬわけにはいかん!!!!!!!

ガンッッ!!

強く念じたお陰か、俺は全身をビクつかせて目が覚めた。

「大丈夫?」

一人の天使がそっと俺に近づき声を掛けてきた。

目の前にはやはり天使…。

それも、さっきより顔がはっきりと映し出されている…。

俺は死んだのだと確信した。

「…天国?」

俺はせめて地獄には行きたくないと、何故か思った。

恐る恐る、自分の現実を確かめなければ…と、天使に俺の今の立場を聞いてみた。

人間、いざ死んだと解ると、冷静に対処出来るものなんだなぁ、この時我ながら感心した。

天使はそっと俺に顔を近づけ、額に手を置いた。

天使の手はひんやりとして冷たかったが、なぜか優しさを感じた。

「まだ、熱いね…。」

そう言うと、次の瞬間、天使は突然俺のテニスユニフォームのボタンを開け始めた。

一つ…二つ…
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